学園日誌

diary

学園日誌

修了式を迎えて

?信頼が育んでくれるもの?


先月の30日に大垣市西地区センターにおいてY君の修了式を行いました。お忙しい中、山本理事長をはじめ多くの関係者に出席していただきましたこと心より御礼申し上げます。中でもY君が復学した中学校の教頭先生ならびに担任の先生にも出席していただけたことはY君にとっても、また学園にとっても誠にありがたいことでした。



みんなの拍手に送られてY君が会場を出ると修了式の幕が下りた。記念撮影が終わるころには皆の顔からも緊張感が消えいつもの明るい雰囲気に戻った。会場に戻ってきたY君がスタッフと固い握手をした途端に彼の目から泪がドッと溢れ出した。悲しい泪ではない、門出の祝涙である。




揖斐高原がまだ残雪で白かった頃、Y君は父親に連れられて学園のクラブハウスにやってきた。見知らぬメンバーとスタッフに囲まれての生活のはじまり。部屋に荷物を運び入れたあと去っていく父親を見送った十四歳の少年の胸中はさぞ不安であったろう。緊張感を隠しながらも日々の活動を通してスタッフと他愛無い会話をし始め、それが笑い声に変わり、やがて信頼が生まれてきた。最初いつもうつむき加減だったY君は消え、元気で明るい中学生の男の子がそこにいた。そして揖斐の山々が秋に包まれ吐息が白くなってきたこの季節、Y君の学園生活に一つの節目が訪れた。




「ぼくはいろんな人たちに支えられてここまでやってこれました。これからも頑張りますのでよろしくお願いします」その言葉には半年前彼が感じた不安など微塵もなかった。修了式の主役として名前を呼ばれた彼が大きな声で返事をすると山本理事長が微笑んで「目の輝きがすばらしい」と褒めてくださった。




「教える」ことよりも「育む」ことは難しいという。しかし、どうやって、と考える前に互いに信じあえる仲間になることがまず大切なのだ。この日また一人のメンバーが学園を巣立っていった。少し淋しいけれども一回り大きくなったY君の背中はわれわれの誇りでもある。




頑張ってくれ、船出の若人よ!



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