今号より、 10代のメンタルヘルス( 大月書店 ) について翻訳されたものをシリーズで紹介をいきます。
このシリーズの特徴は、若者のメンタルヘルスの様々な問題の特徴や原因、そして対処法などを、当の若者に向けて直接書いていることです。
そして、この視点が今後、日本でも間違いなく大事になるだろうと考えられています。本シリーズでは、若者がメンタルヘルスの問題を抱えたときに、「いちばんしっかり自分を守らなければならないのは、君自身なんだ」という考えが貫かれています。しかしながら、 自分で自分を守らなければならないのだといっても、「君がしっかりしなきゃ」と迫るだけでは、単純な精神主義になってしまいます。 その多くが社会や文化が原因で起こっている問題を、個人責任で解決せよと迫るからです。 それでは解決にならないどころか、苦しんでいる人をより苦境に追いやりかねません。
よって、「君自身にしっかりしてほしい」というスタンスに立ちながらも、そのためにこそ、「君の苦しみがどうして生じているのかをよく理解しよう」 「そして、そこから少しでも脱却するには、どういう方法があるのかということもよく学ぼう。その上でまず一歩を」と呼びかけているところが特徴になっています。 しかも、ほとんどの場面で「君が一人で解決しようとすることはいけないことだ」と呼びかけています。 勇気を出して人に頼ることが大事なのだと。 また、解決のための方法も多様に示すことで、当の若者自身の選択を保障しています。
シリーズ?@では、 過食症 を取り上げています。 過食症は、摂食障害です。 摂食障害には、過食症のほかに拒食症や強迫的に食べまくる過剰な摂食、すなわち気晴らし食いがあります。 摂食障害の人は、不安や精神の苦痛を忘れるために、食べ物を利用します。 過食症の人は、食べて吐くことを繰り返します。 過食や嘔吐の症状は、人によって違います。 拒食症の人は食べ物を拒否します。 気晴らし食いの人は、強迫的に食べまくりますが、吐きません。人間が、食べ物を食べるのは、肉体と精神、両方の要求を満たすためです。 摂食障害は深刻な健康の障害ですが、予防や治療が可能です。
過食症とは・・・
過食症の人は、たくさん食べて、食べたものを吐き出します。 食欲を抑えられなくて、たくさん食べた後は、罪の意識を持ったり、恥ずかしさを感じたりします。 たから、食べたものを吐くことで体の外へ出してしまいます。 下剤を使って、排泄物をやわらかくし、すばやく体の外に出すこともあります。 食べ方や吐き方は人によって違います。 過食症で、食べ過ぎない人もいます。 クッキーを1枚食べただけで「過食した」 と思う人もいるし、チョコレートを1キロも食べて 「過食した」と思う人もいるのです。 過食症の人は、たえず食べ物や体重のことを心配したり、気に病んだりします。 たいてい、自分の体については不満足です。
現代社会では、体が必要とする以上に食べることに誘惑されます。 一方では、贅肉のない細い体がもてはやされています。摂食障害はダイエットから始まることが多いのです。 男性より女性の方が、摂食障害にかかりやすい傾向があります。 特に、若い人は、痩せたいと強く思うので、その思いが摂食障害につながることがあります。痩せることに価値観をおく社会が摂食障害を生み出すのです。 しかし、原因は単純ではありません。過食症になるにはいろいろな理由があるのです。 性格、家族、人生の悩みなど、その原因は様々です。 性格の特徴としては、自信がなく人とのいざこざを避けようとする人がよく見られます。
→知っている?
過食をおこす4つの引き金・・・空腹、孤独、怒り、疲労。 4つのうち1つでもあれば、過食のきっかけとなるのです。
過食で、脳の化学反応が変わることがあります。 過食すると、安心したり喜んだりする脳の化学反応が活発になるのです。 ある調査によると、「過食とは、つらい感情を癒すために、食べ物を薬として使うこと」だというのです。
過食症の治療で一番難しいことは、本人が過食症であることを自覚することです。 過食症かな?と思う人を助ける方法はたくさんあります。 その人の支えとなったり、食べ物や容姿についての話題を避けたり、信頼できる大人にそのことを話したり、あなた自身が過食症について学んだりすることです。
こんなこともできます・・・
※ 体重や食べ物の話題は避けましょう。 その人の食べ方について、注意したりしないように。批判ではなく、友情が大切なのです。
※ 容姿の話題も避けましょう。容姿とは全く関係ないところでほめましょう。
※ 過食症の人は、他人を信じない場合があります。 だから、拒絶されていると思っても、諦めないで。 過食症を乗り越えた多くの人が、周囲のおかげで回復したといっています・・・
もし自分が過食症かなと思ったら、自分を助けるこんな方法を試してみましょう。 自分自身への話し方を変えたり、信頼できる人に打ち明けたり、過食症についてできるだけたくさん学ぶことです。
自分にこう言ってみてはどうですか・・・
■不安になってもいいんだよ。
■自分の悩みを人に話してもいいんだよ。
■楽しむことは、悪いことじゃないさ!
■食べ物に人生をコントロールされたくはないわ。
■どうして怒っているのか、なぜ悲しいのか、自分のことが分かるわ。
■他人にどう思われようかを気にすることなんかないよ。
■私にはいいところがたくさんある・・・・
本書は、田口福寿会より、西濃学園に寄付していただきました。 閲覧やご利用をご希望の方がいらっしゃいましたら、学園にお出でいただきましたり、お問い合わせをお願いいたします。