学園日誌

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10代のメンタルヘルス【2】

引続き、10代のメンタルヘルス【2】 拒食症 (大月書店)を紹介をします。



拒食症は、心理的に食べ物を受けつけなくなる、摂食障害です。拒食症になると食欲がなくなるといわれますが、実際はそうではありません。

拒食症の人もおなかがすきます。普通に食欲もあります。でも、拒食症の人はおなかがすいているのを認めようとしません。食べることを拒否して、餓えていきます。そのうえ、激しい運動をすることもあります。

拒食症の人は、理想の体重の85%以下になっても、自分がやせているとは思えません。鏡に映った自分が太って見えます。



このように、自分の体の間違ったイメージを作り上げてしまうのです。

拒食症で体重が減りすぎると、いろいろな健康上の問題が出てくることがあります。髪が抜けたり、心臓病になったり、腕や足などにこまかい毛が生えたりします。体重が減りすぎると、体を温かく保とうとして毛が生えるようです。



拒食症は、うつ病や不安感を起こすことがあります。

内臓が悪くなったり、骨のミネラルが損なわれて、骨粗しょう症を引き起こし、骨の密度が薄くなります。

拒食症がもっと重くなると、死んでしまうこともあります。



10代は、とくに拒食症にかかる危険性があります。

12?13歳の、拒食症になることが最も多く、10代にさしかかる頃、8?11歳でなる子供が年々増えています。10代の体は思春期をむかえて急激に成長し変化していきます。 女の子は体重が増える傾向があります。



思春期以前の男女は、体脂肪がほぼ同じです。

ところが、思春期の終わりごろには女の子の体脂肪は思春期の前の2倍にもなることがあります。

ですから、多くの10代がこの時期に、はじめてダイエットをしようと思うのです。ダイエットを繰り返していると、それが拒食症への第一歩となることもあります。

10代の若者の多くは、「やせたい!」と強く願っています。でも、「飢え」の危険には気づいていないのです。

拒食症の人は、同じような性質や行動の傾向があります。完全主義、自信がない、感情をうまく表現できない、変化がこわいといった性質が見られます。

また、うつ病と強迫性障害を同時に持っていることも多いといわれます。


考えてみよう!

■自分にとってベストを尽くすことと、完全主義はどう違うのだろう?
  
完全主義はどんな問題があるだろうか?



■自分の気持ちが表現できないのはどうしてだろう?
  
悲しみや怒りを表すのにどんな方法があるかな?



■変化は人生につきもの。最近、自分の人生の中で何か変化があっただろうか?
  
そのとき、どう思った?そのとき、どうした?


あなたの食べ方は大丈夫?

■1日のカロリーを低く抑える努力をしている?

■食べ物のことをしょっちゅう考えている?
  
食べ物について本を読んだり、料理したり、カロリー計算をしたりする?

■みんなに「やせているよ」と言われても、自分では太りすぎだと思っていて、うんざりしている?

■自分の食べ方を恥ずかしいと思う?

■自分の食べ方を人に隠す?

■とくに変わった食べ方をする?

■食べ始めたら、やめられなくなりそうでこわい?


拒食症になると、精神面と感情面にも大きく影響が表れます。

飢餓状態でいると思考能力が鈍ります。

脳が栄養不足になると、思考が混乱したり、歪められたりします。



拒食症の人は、たいてい食べ物にこだわっています。

例えば、クッキーを食べる前に割って、じっくり観察したりするような、変わった行動が見られることがあります。 そして、観察したあげく、ひとかけらしか食べないこともあります。

食べ物は、このように拒食症の人を夢中にしたり、はねつけたりするのです。



病気がすすむと、拒食症の人は、自分をひとりの人間として見ることができなくなります。腰周りや足やウェストしか目に入りません。 やせるという使命にすっかりとりつかれてしまい、周囲からも遠ざかってしまいます。 深刻なうつ状態に陥ることもあります。拒食症の人は、自分のしていることを恥ずかしいと思ったり罪の意識を持ったりします。 誰も自分のことを理解してくれないと思い込みます。 でも、拒食症の人にもっとも必要なのは、回りの理解と手助けなのです。



拒食症の治療には3つのステップがあります。

病気の治療、体重の回復、拒食症の原因となった感情の問題の治療です。 体重を増やすのは、とても困難かもしれません。 拒食症の人にとって、体重が増えるということは、敗北を意味してきたからです。 しかしながら、だいたい一週間に0.5?1kgを目安に、医師が決めた目標体重を目指します。 そして、健康によい食べ物を正しい分量食べて、適度に運動をしていきます。拒食症の隠れた原因である、感情の問題には、個人や家族でセラピーを受け、体重が増える恐怖に負けないように一緒に考えあいます。



この治療では、自分の体に対する考え方を改善し、自尊心を高めることにも焦点を当てます。家族セラピーも、拒食症の治療にとって大切なものです。家族は、拒食症の人の助け方を学ぶことができ、拒食症を理解して、その原因を知ることができるようになります。

同じ問題を抱えた、同年代の人同士で、お互いに助け合うグループ・セラピーも有効です。 また、拒食症の治療に亜鉛が有効なことはわかっていますが、抗うつ剤などの薬はあまり効果を現しません。たいていの場合、体重が増えて、体の機能が正常に戻ると、うつ病は回復するようです。 そして、拒食症が完全に治るには時間がかかるので、ゆったりとした治療プログラムを組むことが大切となります。



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