学園日誌

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10代のメンタルヘルス【3】-2

今号は、引き続き、

10代のメンタルヘルス(3)うつ病?どうやって見わけて、だれに助けてもらうのか?(大月書店)を紹介します。子どものうつ病の見分け方について、詳しく見ていきましょう。




うつの症状を知っておくことは、助けを求めるきっかけにつながります。 アメリカ・メンタルヘルス協会作成のチェックリストを見てみましょう。次の質問に、「はい」か「いいえ」で答えてください。


●悲しみや、不安や、絶望感がしつこく続く。 泣けて泣けてしかたがない。

●食欲がなくて体重が減ったり、食欲がありすぎて太ったりする。

●頭痛や消化不良のような慢性的な痛みや症状が、治療しても治らないでいつまでも続く。

●いらいらする。

●落ち着かない。

●元気がでなくて、疲れていて、何もやる気がしない。

●罪悪感や絶望感で、気持ちが沈んでいる。 自分には価値がないと思ったり、希望が持てない。

●寝すぎたり、眠れなかったりする。 明け方早く目が覚める。

●前は好きだったことにも、興味や喜びを感じない。

●集中できなかったり、物覚えが悪くなって、決断力もなくなった。

●死や自殺を考える 自殺を試みる。

もし、「はい」が5つ以上あって、その状態が2週間以上続いている人は、うつ病かもしれません。

ただし、10代の男の子の場合には、当てはまらないものが出てきます。

10代は、悲しんだり消極的になる代わりに、問題を起こす場合があります。 怒ったり、恨んだりという感情から、家や学校でけんかをしたり、酒を飲んだり、薬物にはしったりすることもあります。 家出をする場合もあります。 10代のうつ病で、怒ってばかりいる症状が出ると、周囲から問題児だと思われたりします。 この場合は、同情してもらえないことが多く、必要な助けも届きにくくなります。 問題児だと避けられたり、罰せられたりすることも多いのです。


もし、自分がうつ病かもしれないと思ったら、信頼できる大人にすぐに相談しましょう。 どうすれば、必要な治療が受けられるか、大人はきっと相談にのってくれます。助けを得られるまで、あきらめずに、大人に話しましょう。 また、家族の誰かや、友達にうつ状態の人はいませんか。 治療を受けるようにすすめてみましょう。助けを求めるのには、後押しが必要です。 うつ病の人は、気持ちが混乱していたり、自分の状況を知ることを避けていることが多いのです。 「助けを求めなくちゃ」 と思うことも、そのエネルギーがないかもしれません。まず、話し合うことが、うつ病の人を助けるきっかけになります。 うつ状態の人と話すときは、相手の気持ちを尊重することが大切です。次のように、傷つけない言い方を選びましょう。



<傷つける言い方>

・おもしろい映画を見ようよ。

(気晴らしにと思って、アクティブなことに誘う)

・悩みなんか、忘れるよ。

・そんなにひどいはずないよ。

・そんな時期もあるさ。 そのうち抜け出るさ。

・そんな考え方をするなんて、私には信じられないな。

           等々



<助けになる言い方>

・散歩しない? (ゆっくりと、当人のペースでできることがベター)

・久しぶりに、話そうよ。

・もし話してくれるなら、聞くよ。

・悲しそうだね?

・気になることがあるの?

・君のことを心配しているんだ。君の気持ちを理解したいんだ。



うつ病は、治療のできる病気です。 80%以上の人が治療でよくなります。

しかし、残念なことに、うつ病の人の1/3しか、診断や治療の相談を受けようとしません。

その理由には、情報不足や恥ずかしさなどが考えられます。このことは、悪循環を生みます。



うつ病は、治す方法があるのですが、その方法を知らない人が多いのです。うつ病は治らないと思い込んで、絶望感がさらに大きくなります。 家族の重荷になりたくないと思うこともあります。 うつ病にかかった10代は、親の期待にそえないと悩み、自分の行動を恥ずかしいと思い、ますますうつ状態を進行させていきます。



また、うつ病の人は、自分が病気だと認めないことがよくあります。 うつ病になる人は、弱者で失格者だと思い込んでいるからです。 特に10代は、うつ病を認めたがりません。友達から仲間はずれにされたくないからです。 うつ病のせいで、人と違っていたり、変なやつだと思われたり、キチガイあつかいされるのは嫌だからです。



ところが、うつ病は、ちっとも恥ずかしいことではありません。 助けを求めることで、うつ病の人の生活はずっとよくなるのです。 うつ病は、我慢すればそのうち治ると思っている人もいます。 でも、我慢している間のつらさはどうでしょう。うつ状態のときに、自分自身をひどく傷つけてしまうかもしれません。診断も治療もしないでいることは、10代の人たちにとって、とても痛ましいことです。



10代は、頭脳面、感情面、人との関係面でも大きく成長する時期です。 治療をしないでいると、大人になるための大事なステップを逃してしまうことになりかねません。 そして薬物や酒へと、間違った道に踏み込んでしまう危険もあります。 その道は、一生の困難と不幸せに続く道なのかもしれないのですから。



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