今号も、引き続き、10代のメンタルヘルス?B うつ病?どうやって見わけて、だれに助けてもらうのか?(大月書店)を紹介します。子どものうつ病の治療の方法と、再発させないために必要なことについてみていきます。
うつ病は、薬や心理療法で治療します。
両方の方法を使うこともよくあります。治療の方法は、病気の重さによって違います。どんな病気でもそうですが、治療を早く始めれば、それだけ治療の効果も高くなります。
うつ病の薬を抗うつ薬といいます。憂うつな気分を普通の気分にする薬です。抗うつ薬でとても幸せな気分になったり、世の中がばら色に思えたりすることはありません。 抗うつ薬を飲んでいても、自分で自信を持つように心がけたり、人間関係やほかの問題に対応していかなくてはなりません。抗うつ薬は、普通に生活がおくれるように、気持ちを落ち着かせてくれるものです。 抗うつ薬は、4?8週間で効果が出ます。 自分にあった抗うつ薬を見つけるために、いろいろ試す期間も必要でしょう。 しばらく飲み続けなければ効果が出ないこともあります。 一生の間、抗うつ薬を飲み続けなければならない人もいます。 抗うつ薬は、必要な人にしか効き目をあらわしませんし、抗うつ薬で性格が変わることはありません。むしろ、その人本来の性格を引き出してくれます。
抗うつ薬は、とくに飲み始めのころに副作用を起こすことがあります。 副作用には、興奮、ふるえ、むかつきや吐き気などがあります。口が渇いたり、便秘になったり、体重が増えることもあります。 目がかすんだり、頭痛がしたりすることもあります。体がいったん薬に慣れてしまえば、副作用はたいていなくなります、抗うつ薬を飲み始めると、気分がよくなる前に、以前よりも悪くなることがあります。 気の短い人はここで薬をやめてしまうことがあります。 そんなときは、医師に相談しましょう。 効果を上げるために服用量を調整したり、副作用の少ない薬に変えてくれたりします。
心理療法は、話を通して行う心の治療のことです。 心理療法は、とくに軽症のうつ病に効果的です。 10?20週間ほどで効果が現れてきます。心理療法には、いくつかのタイプがあります。 消極的な考え方や行動を変えようとするタイプの心理療法と、対人関係を向上させることに焦点を当てた心理療法、また、なぜうつ病になったのか、その理由をさぐる心理療法もあります。
セラピストは、うつ病の人と1対1で会うこともありまし、何人かのグループでセラピーをすることもあります。 グループ・セラピーは、10代には効果的です。 同じ年代のほうが、自由に問題を話し合えるからです。 互いにアドバイスをしたり、助け合ったりできます。 家族セラピーもうつ病には効果的な場合があります。
適切な治療をすれば、うつ病の人は普通の生活に戻ることができます。 生きることがまた楽しくなります。 しかし、うつ病が生活にもどってくることもあります。うつ病から回復した人は、再発しないように努力しなくてはなりません。
うつ病から回復した人に必要なのは、家族や友達の愛情と支えです。 自分がひとりぼっちではないことを知らせてあげなくてはなりません。
うつ病の人を助ける8つの方法です。
- 治療を続けるようにはげましましょう。
「時間をかけて治療を続ければ、きっと気分がよくなる」といってあげましょう。 - 家族セラピーに参加しましょう。
- うつ病の人に声をかけましょう。
- その人のことを大切に思っていることを伝え、安心させましょう。
- 罪悪感を与えないようにしましょう。
うつ病というのはなりたくてなるものではありません。誰のせいでもないのです。 - めんどうを見すぎないようにしましょう。
- 無理に明るくふるまうようにさせてはいけません。
- 自分の気持ちを無理に話させようとしてはいけません。
うつ病の人といっしょにいたり、暮らしたりするのは大変なことです。
さまざまなつらい気持ちと向き合わなくてはならないでしょう。その人に対して、いらついたりじれたりすることもあるでしょう。 うつ病がもたらしたさまざまな問題について、腹立たしく思うこともあるでしょう。
このような感情はすべて自然なことです。うつ病の人と暮らしている人も、気分が落ち込むことがあります。 そうならないためには、自分自身を大切にしましょう。 自分の気持ちを話せる人を見つけましょう。 友達や親戚と連絡を取り合いましょう。 自分の好きなことを続けましょう。
自分がうつ病だったら・・・
- 治療プランを守りましょう。
- 健康な生活習慣をつけましょう。
- 仲間を作りましょう。
- いろんなことをしましょう。でも、忙しすぎないように。
- 過去の混乱を片付けて、前進しましょう。
- 自分の気持ちと向き合いましょう。
注意!
自殺の恐れのあった人が、気分がよくなり始めると、家族や友達は「もう問題が解決した」 とほっとするかもしれません。安心して、元の生活に戻っても大丈夫だと思うかもしれません。
しかし実際は、以前よりももっと自殺の危険があるかもしれないのです。 ひどいうつ状態のときは、気持ちが混乱していたり、疲れたりしていて、自殺もできない場合があります。気力が戻ったときに、自殺をする場合があるのです。