学園日誌

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10代のメンタルヘルス【4】-2

今月も引き続き、10代のメンタルヘルス(4) パニック障害 (大月書店)を紹介をします。



パニック障害は進行することが多く、「予期不安」「回避行動」「広場恐怖」などの症状を併発することがあります。



パニック発作が何度か起きると、ほとんどの人は、発作中の恐怖を恐れるようになります。これは、「恐怖を恐れる恐怖」で、発作と発作の間に不安感を持つようになります。また発作が起きるのではないかと、ひどく心配になるのです。これを予期不安といいます。不安になると、また次の発作が起きるのではないかと予期するようになるのです。



パニック障害の人は、発作が起こるのを防ぎたいと思うものです。そのため、何が発作の原因になったかと考え、原因なったと思われる場所や状況を避けるようになります。



例えば、レストランで発作が起きたことがあると、そのレストランやレストランの周辺を避けるようになるのです。一日中、発作が起きるか心配して、緊張している人もいます。しかし、回避行動派発作を防ぐことにはなりません。それどころか、用心深く、注意深くなればなるほど、発作を起こすことが多くなるのです。発作が続くと、発作に対する恐怖もつのります。そして、恐怖感が大きくなると、予期不安と回避行動も大きくなっていきます。回避行動は、生活を変えてしまいます。



例えば、気に入っていた場所に行けなくなったり、発作中にそばにいた友人と付き合うのを止めたりします。発作中の身体症状を思い出させるものを、避けるようになる場合もあります。



例えば、発作のときの動悸を思い出すので、ジョギングを止めてしまうという具合です。このように、家、学校、職場、社交の場での生活全てが極端に制限されてしまうことがあります。発作の恐怖と回避行動が強くなると、恐怖症になることがあります。恐怖症とは、理由のない強烈な恐怖が続く状態です。パニック障害の人は、自分が避けている物や状況について、恐怖症になることがあります。



パニック障害のもっとも深刻な合併症は、PDAと呼ばれるもので、パニック障害に広場恐怖が合併したものです。PDAの人は、公共の場でパニック発作を起こすのではないかという強い恐怖感を持つので、様々な場所を避けるようにらなります。発作を起こしているときに閉じ込められたり、助けを求めることができなかったりすることを恐れるので、逃げるのが困難な場所に行くことが怖くなります。恥ずかしい思いをしたくないので、発作を起こしているところを人に見られたくありません。PDAの人は、特に、狭い場所や広々とした場所に神経質になります。PDAの人の多くは、人がたくさんいる場所や混雑している場所を避けます。レストランやスーパーマーケットや商店街、また、スポーツや文化などのイベントも避けたがります。特定の狭い場所を嫌う場合もあります。



例えば、エレベーターやトンネルのような場所、バス、汽車、地下鉄、飛行機といった乗り物です。こうした場所は、パニック発作を起こしたときに閉じ込められたり、逃げられなくなったりしやすいからです。PDAの人はたいてい、家から遠く離れることをとても不安に思います。一人になることを恐れることもあります。特定の人と一緒にいないと不安な場合は、その人に頼りきりになってしまいます。



PDAについてよく知らない人は、面倒くさく思ったり、疲れ果ててしまったりすることもあります。めったにないことですが、もっとも重症のPDAの場合、家に引きこもってしまうことがあります。これはパニック発作への恐怖心が極端に大きくなった場合です。ドアには鍵を掛け、窓のカーテンを下ろして、外の世界を見ることも避けます。こんな深刻な状況になると、重症のうつ病を併発したり、自殺の恐れに繋がることもあります。



パニック障害は、通常、10代の終わりから20代のはじめにかけて始まります。子ども時代や45歳過ぎて発病することはめったにありません。女性がパニック障害にかかる確率は男性の2倍です。また、広場恐怖を伴うパニック障害になる確率は、女性は男性の3倍にも上がります。どうして男性と女性でこのように差が出るのかについては、まだ調査中です。パニック障害の原因としては、生物学的要因、遺伝、脳の化学物質、心理的原因、子どものころの体験、大きな生活の変化、長引くストレスが考えられます。
パニック発作自体は危険ではありません。パニック発作は恐ろしいものですが、身体が傷ついたり、死んだりする危険はありません。自分や誰かが、パニック発作を起こすととても怖いものです。そんなときは、パニック発作について次の事実を思い出してください。



* 発作自体は危険ではありません。



* 心臓麻痺を起こすことはありません。



* 窒息することもありません。



* バランスを失って倒れることもありません。



* 自己コントロールができなくなることもありません。



* 気が狂うこともありません。



 うつ病になってからパニック発作を起こす人も、パニック発作が定期的に起きるようになってからうつ病になる人もいます。どちらにしても、パニック障害とうつ病が一緒に起きると、治療がしにくくなり、回復に時間もかかります。うつ病とパニック障害の最も重要な問題は、自殺の危険です。パニック障害かも知れないと思ったら、自殺の危険を見過ごしてはなりません。正しい診察、診断、治療を受けることで、命を救えます。



 パニック障害の診断は簡単ではありません。症状が他の病気と似ている場合が多いためです。低血糖、甲状腺障害、ある種の脳や心臓疾患などの場合、同じ症状が起きることがあります。パニック障害だと判断する前に、他の病気がないかを調べることが大切です。診断の際には、パニック障害にことが分かっている医師を選びましょう。診察のときに、自分の症状を説明し、パニック障害ではないか調べてほしいと伝えます。他の病気でこのような症状が起きているのかどうかも調べてほしいと、と言いましょう。



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