学園日誌

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10代のメンタルヘルス【4】 パニック障害

今号から、10代のメンタルヘルス(4) パニック障害 (大月書店)

を紹介します。



パニック発作は、以外に身近な症状です。毎年、だいたい3人に1人がパニック発作を起こすという調査もあります。 パニック発作を繰り返す起こす人は、パニック障害という病気かもしれません。パニック障害は、世界中で75人に1人の割合で起こる病気です。

不安、恐怖、そしてパニック・・・



不安というのは、「何か悪いことが起きるかもしれない」と、心配になることをいいます。不安なときは、気持ちが不安定になり、いらいらします。 実際に悪いことが起きるとは限らないのに、嫌な気分になってくるのです。 不安は、はっきりした危険に対して起きるものではありません。どこにあるのかわからない危険を苦痛に感じる状態を不安といいます。 誰でも不安になることはあります。不安感も、怒りや悲しみや喜びなどと同じに、人間の自然な感情なのです。 不安感には、弱いものから強いものまであります。 弱い不安感は、何となく不確かな気分です。 強い不安感は、押さえられない恐怖として感じることがあります。



私たちの体は、不安を感じるといろいろな反応をします。落ち着きがなくなったり、同じ動作をせわしなく繰り返したりすることもあります。 汗をかくこともあります。筋肉が緊張したり、呼吸が速くなったり、頭が痛くなったりすることもあります。不安感が何日も何週間も続くと、眠れなくなることもあります。不安感は、どんなものでも心地よいものではありません。



不安感と違って恐怖感は、はっきりした危険に出会ったときに感じるものです。 危険は、あいまいなものではなく、確かなものです。 恐怖感は、人間の「立ち向かうか、それとも逃げるか」という本能を呼び起こします。 これは実際の危険に対する反応です。 まず、体が反応して、震えたり、どうしようもない気持ちになって呼吸が速くなります。次に、脳が危機感に反応し、神経系がアドレナリンやホルモンを急激に出します。体の様々な機能を管理し、すばやく体を動かせる態勢にします。鼓動と呼吸が速くなり、血圧が上がり、筋肉も緊張します。 こうして体と脳は、危険に立ち向かうか逃げるかの、どちらかの行動を取るか準備が完了します。



恐怖感が、極端になったときに生じるのがパニックと呼ばれます。しかし、パニックは、恐怖感とは全く違った体験です。

たとえ話です。 1匹の狼が山を駆け下りてきました。あなたは恐怖を感じ、体と脳に「立ち向かうか、逃げるか」 の反応が起きます。逃げると決めたら、反対方向へ走り出します。では、いっぺんに6匹の狼がやってきたらどうでしょう。狼たちはうなりながらあなたを取り囲み、少しずつせまってきます。 突然あなたはどうしようもない危険にさらされていると気づきます。 安全への道は閉ざされました。 その瞬間、パニックとなって爆発します。 恐怖感がパニックのレベルに達したとき、体は激しい反応を起こします。 専門家によると、「立ち向かうか、逃げるか」の反応のエンジンが 突然全開したようになるそうです。鼓動や血圧が急上昇し、体が過剰に反応するので、脅えて話すことも動くこともできなくなってしまうのです。パニックの途中は、思考も論理も崩れ去り、まったくの混乱状態となります。そのため、意味のない動作をすることもあります。 



普通、恐怖やパニック感は、確かな危険や恐れに対して持つものです。しかし、パニック発作の場合は違います。はっきりした危険も現実的危険もないのに、パニック発作は起きるのです。だから、発作を起こした人は途方に暮れて恥ずかしい思いをするのです。パニック発作が何回か起きると、実際には危険がないということが自分でも分かるようになります。それでも、パニック発作の間の衝撃的な恐怖感は止めることができません。ですから、パニック発作を起こす人は、自分がどこかおかしいのではないかと考え始めます。一人で考え込み、自分の発作について誰にも話せないことがよくあります。パニック発作では頭も体も本当に危険にさらされているような反応を起こします。



パニック発作の症状には次のようなものがあります。



  1. 息切れがする

  2. 鼓動が速くなって動機がする

  3. 息苦しくて、窒息しそうになる

  4. 胸が痛む

  5. ふらふらして、めまいや失神しそうになる

  6. 体がふるえる

  7. 体の感覚がなくなったり、ひりひりする

  8. 汗をかく

  9. 体が熱くなったり、冷たくなったりする

  10. 吐き気や腹痛を起こす

  11. 現実が遠くに見える感じがする

  12. 自己コントロールができなくなったり、「気が狂うのではないか」という恐怖を感じる

  13. 死ぬのではないかと怖くなる


本格的なパニック発作の場合、このような症状が同時に4つ以上起きます(2?3の症状だけの場合は「限定症状発作」)。ほとんどのパニック発作は、2?3分でおさまります。発作によっては、10分以上続くものもありますが、1時間も続くものはほとんどありません。



パニック発作を繰り返し起こす人はパニック障害という病気かもしれません。



  1. パニック発作を2度以上起こした場合

  2. パニック発作が限定症状発作ではなく、本格的な発作の場合

  3. 発作の後、また発作を起こさないかという心配が、1ヶ月以上続いたことが1度以上ある場合

  4. パニック発作が他の病気のせいや薬の副作用でない場合





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