学園日誌

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10代のメンタルヘルス【6】

今号から、10代のメンタルヘルス【6】 自殺 自殺のきざしを見のがさない (大月書店)を紹介をします。



あまり知られていませんが、日本は世界一の自殺大国です。

日本の場合、自殺者の4分の3近くは男性で、年齢が上に行くほど自殺率が高くなっているという特徴があります。
しかし、今後、若者の自殺率も大きく増えてしまう可能性がないとはいえません。
その意味で本書は、若者だけでなく、若者の育成、教育に携わっている人全てに読んでいただきたいものです。


なぜ10代で自殺しようとするのでしょうか。 若い人は希望に満ちているように見えます。
何が問題で若い人が自殺したいと思ったりするのでしょう。自殺の理由はひとつではありません。
理由はそれぞれ違いますし、理由の分からないものもあります。
10代で多いのは、耐えられない問題を解決しようとして自殺することです。
絶望的な状況から逃げようとしたり、否定的な考えや気持ちを打ち消すために自殺を選ぶのです。
自殺を考える人は、無気力で孤独なことがあります。 うつ病であることも多いのです。
「一時的な問題の永久的解決」自殺はこう呼ばれることがあります。10代のときは人生経験が少ないので、永遠に続く問題なんてほとんどないということが、まだ分からないのです。 問題解決の技術もそれほど身につけていません。
だから、自殺を考えるような問題にぶつかった場合は、誰かに相談することが大事となってきます。



10代の自殺の引き金には、次のようなものがよく見られます。



  • ■ボーイフレンドやガールフレンドとの別れ

  • ■親との喧嘩成績が落ちた

  • ■スポーツの試合などで負けた

  • ■人から非難された


数ヶ月も自殺のことを考えていて、ある日、ひとつの出来事が引き金となって、実際に自殺をしてしまうこともあります。

また、10代は、死について非現実的な捉え方をしていることもあります。死がどういうものかわからない10代が増えているようです。
ある子は「少しの間死ぬだけだ」と思っていました。本や映画の中の死は、ロマンチックに見えることがあります。死が美しく、英雄的なものに思えたりするのです。 特に女性は、死と愛とを結びつけて考え、愛のためには喜んで死ねると思ったりします。

自殺の危険は誰でもかかえることがあります。しかし、特に自殺の危険性の高い10代がいます。
自殺の危険性が高い10代は、ほとんどがうつ病です。 生活の中に、普通の人よりもストレスが多い場合もあります。

どんな人が危険度が高いか、幾つか特徴を紹介します。


自殺未遂の経験がある

自殺未遂の経験をした人は、自殺の危険度が高くなります。 自殺した10代の20?50%は自殺未遂をした経験があります。 自殺未遂はリハーサルのようなもので、自殺の恐怖を取り除くことになります。


家族に自殺をした人がいる

家族に自殺した人がいる場合は、自殺の危険度が高くなります。自殺は、もちろん遺伝ではないので、親から子どもに受け継がれるものではありませんが、 自殺を問題の解決法として受け入れてしまうためです。


精神的な病気にかかっている

重いうつ病の人は、自殺の危険性があります。 自殺をする人の60%以上が、重症のうつ病です。 うつ病の人は絶えず悲しい気持ちでいるので、自殺によってその気持ちから逃れられると思うのです。 躁うつ病やパニック障害など、他の精神的な病気でも、自殺の危険性は高いといえます。 自殺は、こうした病気の症状でもあるのです。


自尊感情が低かったり、全くない

自尊感情が低い人や、全くない人がいます。 自尊感情がないと、自分のことがすきになれないうえに、自分には何の価値もない、生きている必要もないと思ったりします。


酒類や薬物に依存しているとき



性同一性障害の問題を抱える

昨今、日本で真剣な取り組みが始まっている問題です。 自分の性的嗜好を隠そうとして、毎日ストレスにさらされ、プレッシャーを感じて悩んでいます。 思い切って告白し、のけ者にされることもあります。 差別から、悪口を言われたり、殴られたりといった虐待にあうことも多いのです。


大きなストレスを感じている

例えば両親の離婚や家族の死は、自殺の引き金になることがあります。 妊娠したかもしれない、という恐怖感も大きなストレスになります。 自殺をしようとする10代の女性の1/3は、妊娠していたり、妊娠していると思い込んでいます。 


家庭が不安定だ

メンタルヘルスの専門家は、10代の若者の精神的な成長に、課程が大きく影響していると考えています。家族から虐待を受けたり、無視されたり、家族の支えがなかったり、家族と話ができなかったりすると、「自分は必要とされていないのだ」 「愛されていないのだ」 という気持ちになります。 このことが、自殺につながりさせやすくすることがあります。


人並みはずれた才能がある

スポーツや勉強に人並みはずれた才能を持つ若者は、自殺の危険度が高くなります。 才能のある人は負けず嫌いで、自分への期待も高いからです。 成功したことからプレッシャーが生まれ、これからの自分への大きな期待を持ち過ぎて、うつ病や自殺に追い込まれることがあるのです。


次号では、自殺を考えている友達に何ができるか、自殺の危機を乗り越え、自殺を防ぐには何ができるのかを中心に紹介をします。



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