学園日誌

diary

学園日誌

10代のメンタルヘルス【7】

今号から、10代のメンタルヘルス?F 親の離婚 居場所を探して・・・(大月書店) を紹介します。



子どもにとって両親の離婚は、人生で出会う最も難しい問題、あるいは少なくともそのひとつになります。

子どもの責任で両親が離婚に至ったわけではないことが多いのに、ひょっとしたら自分が原因なのかと

悩むこともありますし、再婚して目前に現れた新しい親にうまく適応できないこともしばしばです。

自分が適応できないと家族が困るだろうからと、無理をして新しい親に合わせようとすることもあります。

その無理が、大人になってからその子の心を苦しめることもよく起こります。


本書は、親が離婚した際に、子どもの心にどういうことが起こりうるのかということを詳しく説明し、

そこで抱える不安やメンタルヘルスの失調状況をどう克服していったらよいのかを、端的な叙述で提案したものです。

読者対象として想定されているのは、親が離婚した子どもたち、あるいは親が離婚しようとしている子どもたちですが、それだけでなく、離婚しようとしている、あるいは離婚した親にも読んでもらいたいという立場で書かれています。また、離婚率の増加に伴い、本書は、小学校、中学校、高等学校の教師たちにもぜひ読んでもらいたいものだと考えています。


クラスに親の離婚を体験している生徒がいるとき、彼らの心にいったい何が起こっているのかを想像する際の有力なヒントがちりばめられています。

お読みになると、離婚を体験する子どもたちの心の葛藤が実によくわかると感じられるのではないでしょうか。子ども達も、親の離婚後、どうして自分がイライラするのか、元気が出ないのかというようなことがうまく説明されているのを感じるはずです。そしておそらく、子どもたちは読んでホッとするとともに、反面で、自分の運命を引き受けていこうという気持ちが増していくのを感じ取ると思います。

離婚が、子どももたちにとっても当人にとってもマイナスの体験になるのではなく、むしろプラスの体験になることも多くあります。上手に離婚してかえって自由になったというケースもまれではありません。ですから、離婚によって子どもの心身に生じる問題を一律に論じることはできないのですが、いずれの場合であっても、離婚・再婚によって、直接そのことに責任のない子どもがどういう体験をするのかを、当の親がわきまえておくことは重要でしょう。




離婚とは、結婚を法的に終わらせることです。

離婚は、家族全体に大きな変化をもたらします。離婚の原因はさまざまです。互いに愛情がなくなってしまう場合もあるでしょう。身体的・感情的な虐待、夫婦間のいじめや、子どもの虐待が原因となることもあります。他の誰かを愛していて、その人と住みたいという場合もあります。お金の使い方やどこに住むかといった、家族にとって大切な問題について、意見が合わなくなったことが原因となることもあります。たくさんけんかして離婚する場合もあれば、長い時間かけて静かに離婚が進行していて、ある日突然、親が家から出て行ってしまうこともあります。うまくいっていない夫婦は、どちらかが理由をつけて家庭から遠ざかり、まったく家に帰ってこなくなることもあります。




離婚には3つの段階があります。




家族によって格段階にかかる時間はちがいます。しかし、どの家族もこの3つの段階を通ることになります。



まず、第1段階は危機期と呼ばれ、2ヶ月?2年かかることがあります。親は、別れることを明らかにし、離れていきます。通常、片方の親が家を出ます。この時期を、危機期と呼ぶのは、まるで家庭がひっくり返ったようになるからです。親が離婚を決意すると、子どもたちは驚きます。子どもは、このような変化に対して準備ができていない場合が多いのです。



第2段階は法律的な手続きが終了し、裁判官が離婚を承認するまでの期間です。この期間は6ヶ月?数年かかることもあります。親はまだけんかをしたり、協力し合わなかったり、親権や財産分与のことで、法廷で争い続けることもあります。この期間、親のほうが子どもに感情的な支えやなぐさめを求めることもあります。片方の親が、子どもともう片方の親の仲を悪くさせようとすることもあります。



第3段階は、実際に離婚してから2?3年続きます。親は表面的にはけんかをしなくなっても、まだ、離婚するまでのよくない感情が残っています。その感情は子どもにとって大きなストレスになります。子どもにとっては、親の一人と一緒に住めなくなったこともストレスです。もし親が他の人と交際して再婚すると、さらに子どもは動揺します。このようなストレスが親と子どものコミュニケーションを妨げ、離婚の後何年もうまくいかないことがあります。





?離婚する親が子どものためにできること?


  •    ●何が起きているか、なぜなのかをちゃんと説明すること

  •    ●離婚が子どものせいではないこと、そして、両親ともに子どもを愛しているとしっかり伝えること

  •    ●子どもが離婚についての親の決心を変えることはない、と理解させること

  •    ●親が再び一緒になることはありえない、と説明すること




 離婚の影響

離婚は家族の生活を変えます。



学校を転校しなければならないこともあります。少なくとも、親は別々に住むようになります。

こうした変化で、悲しみや絶望感や寂しさを感じるのは、まったく正常な感覚です。
ほかにも、とまどい、

はずかしさ、罪の意識、怒り、恐怖、否定などの感情を持ったり、うつ状態になることもあるでしょう。

相反する気持ちを同時に抱いたりすることもあります。



次号では、このような心への影響を詳しく理解していきたいと思います。



ホーム