引き続き、10代のメンタルヘルス?H 喪失感 (大月書店) を紹介します。
誰かの言葉で、自尊感情が傷つけられることがあります。
自分でも、何かうまくいっていないぞ、失敗したかな?と思っているときに、他人からの批判は致命的です。
失敗は自分が他人より劣っていると思わせます。自分に失望すると自尊感情が欠けていきます。
1回ずつの失望は小さくても、何度も繰り返していると、自分の価値がどんどん低く思えてくるのです。自尊感情のある・なしは、その人の考え方や行動の全てに影響をおよぼします。
自尊感情を高める方法はいろいろありますが、まずは、否定的な独り言を打ち消すことです。
例えば「もうあきらめよう」と自分に言ってしまえば、そんな気分になってしまうでしょう。もし、否定的なメッセージを自分に送ってしまったら、それを打ち消すメッセージを出せばよいのです。
まず、自分に「ストップ」「ちょっと待てよ」と声をかけます。それから、前向きのメッセージを言います。
「自分のことをもっとよく思うべきだよ」 「あきらめるのはやめよう」 「きっとやれるさ」 と自分に言い聞かせるのです。否定的な気持ちになるたびに、やってみましょう。
しばらくすると、否定的な声を簡単に打ち消すことができるようになり、自分自身について、よりよい感情をもてるようになります。そうすれば、さらに否定的な声は消えていきます。
自尊感情も高まるので、「もう小さな喪失はなんでもない」と思えるようになるかもしれません。
癒しの道は一方通行ではありません。人間は成長するとこれまでとは違ったより良い方法で問題に対処できるようになりますが、喪失感が戻ってくることもあるのです。
大切な人やものを失ったことへの悲しみを忘れられないのは、当たり前で自然なことです。けれどもそのことを思い出すたびに、少しずつ違う対処をしていくようになり、自分自身についても新しい発見をしていきます。
悲しみを癒していく作業を一人で行うのが難しかったら、援助のシステムを使いましょう。友達や家族はあなたの身近にある援助のシステムです。両親は最も頼りになるでしょう。サポートグループに参加したり、カウンセリングを受けることも大きな助けになります。カウンセリングに際しては、次のようなことを事前に調べておくと良いでしょう。
★そのカウンセラーは10代を診る経験が豊富かどうか。
★個人的に喪失について、そのカウンセラーはどう考えているか。
★10代にどのようなアドバイスをしているか。
***カウンセラーと話した後で、自問自答してみましょう。***
★カウンセラーはよく話を聞いてくれただろうか。
★初めてあったとき、不安にならなかったか、リラックスできただろうか。
★カウンセラーは自分のありのままを受け入れてくれるだろうか。 それとも自分を変えようとしているだろうか。
***友だちが喪失感に対処している時は、こんな手助けをしましょう。***
★必要とされたときにそばにいてあげよう。
★聞かれたとき以外は、助言するのを控えよう。
★1日ずつ回復するのを助けよう。
★うつ状態が見られたら、友達の親、先生、学校の相談員、信頼できる大人に伝えよう。 これは裏切りではなく、友達を助けることだ。
★必要なときは、一人にしておいてあげよう。
★誰も友達に代わって悲しんであげることはできない。でもそばにいるだけで助けになるかもしれないことを忘れないでいよう。
★時がたてば悲しみは薄れると、友達に言おう。そんなときが来るまで、希望を持ち続けるように励まそう。
★少しずつ将来に向かって前進するように助けよう。
「共感を持って聞く」 ことと、「言葉の探偵になる」ことは、積極的な聞き手になる2つの方法です。他人の気持ちを感じることを「共感」 といいます。友だちが悲しんでいる時は、助言よりは、誰かに良い聞き手になってほしいことがあります。理解してくれる人がいるだけで支えになるのです。言葉の探偵は、友達の本当の気持ちを見つけ出す方法です。
- 友達のいうことを聞きましょう。自分が次になにをいおうかと考えるのではなく、友達の言うことだけに集中しましょう。
- 友達の言っていないことに耳を傾けましょう。例えば、友達の両親が離婚した場合、まず第一に話したいのは離婚のことに違いない、とあなたは思うでしょう。でも、友達はスポーツチームのことについて話し始めました。これは、友達が離婚についての自分の気持ちを回避しているのだ、というヒントになります。
- 友達の使う、気持ちを表す言葉に注意しましょう。たとえば「生きる目的がもう何もなくなった」というのは、自殺願望を表しているかもしれません。
喪失感の中にいる友達を支えることができるのは、本当の友達です。これはとても大変なことですし、友情が壊れそうになることもあるでしょう。
でも、乗り越えたときには友情は強くなり、特別な友達になれるでしょう。 そして、喪失の悲しみを経験した友達を助けることで、あなたも成長します。