学園日誌

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10代のメンタルヘルス【10】-3

引き続き、10代のメンタルヘルス10 ADDとADHD(大月書店)について紹介をします。

 ADHDの診断が難しい理由の一つに、症状が普通の行動と見分けが付きにくいことがあります。誰でもソワソワと落ち着かないことはありますし、気分にムラがあったり、引っ込み思案だったりするのは典型的な10代の性質でもあります。また、小さい子どもの多くは、よく動いて、騒がしいものです。もう一つの理由は、ADHDの症状が他の障害の症状に似ていることです。ADHDは、躁うつ病、不安症、うつ病のような、他の精神的な障害と間違われたりします。また、他の身体的、精神的障害がADHDと合併している場合もあります。すると、どの行動がADHDによるものなのかを見分けることが難しくなります。さらに、家庭や学校の状況がADHDによく似た症状を引き起こしている場合もあります。例えば、身体的虐待を受けていたり、親の離婚が原因で、手に負えない行動をすることもあります。
 たとえば血液検査やレントゲン検査のような、正確なADHDの診断ができる科学的検査方法はまだありません。そこで、アメリカ心理学協会の定めた診断基準を遣うことで、ADHDの診断が行われています。こうした基準に当てはまるかどうかの判断は、それぞれの医療機関の技術と経験に頼らなくてはなりません。次のような症状があることが、診断の基準となります。



 2カ所以上の場所で症状が見られる。環境によって起こる行動と見分けるため。


 症状が少なくとも6カ月以上続いていること。特別な出来事によって引き起こされた行動と
 見分けるため。


 発症が7歳以前である。7歳以後に発症したものはADHDでないことが多い。


 症状が、学校、家庭、社会などの日常の機能に影響を与えるもの。


 症状の表れ方が、子どもの発達段階と不釣合いにたびたび出て、しかも重症であること。



 ADHDの10代は、みな同じではありません。医療専門家は、ADHDを3つのタイプに分けて診断しています。詳しい診断は、治療の計画を立てるのに役立ちます。診断は、6カ月間にどの行動が最もたびたび起きたかを調べます。各タイプは、更にその中で軽症から重症まで分けることができます。



 不注意/他動性や衝動性よりも、不注意が主な症状として見られる場合。


 衝動性と多動性/不注意よりも、衝動性や他動性が症状として見られる場合。


 3つが混合されている場合/不注意、衝動性、他動性のすべての症状が多く見られる場合。



 医療専門家であっても、見るだけでは診断はできません。診察室で、ADHDの症状が出ることは少ないからです。そこで医療専門家は、問診によって患者の情報を集めます。評価表、質問表、心理学テスト、学校の成績なども使います。正式な診断が出るまでには、数週間?数ヶ月かかることがあります。


 ADHDの診断を受ける男女の比率は、男子が女子の3?6倍にもおよびます。しかし、ADHDが男子に多いというわけではありません。女子のADHDは診断されにくいと、専門家の多くは述べています。その理由に、次のようなことがあげられます。女子のADHDは、主な症状が不注意であることが多く、学校でもおとなしい夢見がちな子どもだと思われたりするので、先生が症状に気づきにくいのです。一方の男子のADHDは、多動性と衝動性を表すことが多く、教室で騒いだり、先生を困らせたりするので、先生が検査を受けるように勧め、ADHDだと判る場合が多いのです。


 ADHDの子どもの7割は、10代になる前にADHDであることがわかります。一方、高校生になるまでADHDの診断がなされない場合もあります。それはなぜなのでしょうか。ADHDは多動性と結び付けられがちです。しかし、ADHDがすべて多動であるとは限りません。特に頭の良い子は、小学生の頃の障害を隠すことができます。また、わざと隠さなくても、周囲に気づかれずに、10代になってしまう場合もあるでしょう。これは、1クラスの人数が多すぎたり、診断ミスがあったり、ADHDについての認識不足などによるものです。自分がADHDかもしれないと思ったら、親や学校のカウンセラーに相談して、検査を受けてみましょう。自分の症状を、例を上げてリストにしておきましょう。こうした情報は、専門家が正しい診断をするのにとても役立ちます。次の質問で、6つ以上「はい」という答えがあったら、学校のカウンセラーに相談してみましょう。



 自分は何もできないと思う。


 すぐにくじけて自分をダメだと思う。


 感情的になりすぎたり、かんしゃくを起こしたりすることがある。


 宿題やテストで、不注意な間違いをたくさんするので、成績がよくない。


 家族や友達や周囲の人に、話しを聞いていないといわれることがある。


 いつも指で机を叩いたり、髪をぐるぐる指に巻きつけたり、部屋をうろうろ
 歩き回ったりしていると人に言われたことがある。


 机やロッカーや自分の部屋が散らかっている。テスト


 どんな難しい課題でも、どれほど締め切りが迫っていても、先延ばしにする。


 人の話を聞かないで、ぼんやりしていることがある。


 人の話に途中で割り込むことがある。


 周囲の人に「おしゃべり」と言われる。


 テレビのチャンネルをひっきりなしに変える。


 説明書を読んだり、説明を聞いたりする前に、何かをやり始めることがある。


 いくつかのことを同時にしなくてはならなくなると、頭が爆発しそうになる。


 この質問を、順番に読むのが難しかった。




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