学園日誌

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10代のメンタルヘルス【10】-4

引き続き、10代のメンタルヘルスADDとADHD(大月書店)を紹介をします。

 ADHDは治癒できませんが、症状はコントロールできるようになります。ADHDの治療には、投薬、教育、カウンセリング、環境の改善などがあり、その人の症状や年齢に適した方法を選びます。家族や先生も治療プログラムに参加することが大切です。合併症も治療しなくてはなりません。


 ADHDの治療の主な方法は、薬を使います。薬によって気持ちが静まり、集中力が増して、衝動性を弱めることができるようになります。すると、日常生活がうまくいくようになります。ADHDの治療に薬を使うことは、以前ほどではありませんが、今でも論争がたえません。薬による治療が効果を表している場合でも、周囲の援助は必要です。励ますことは助けになります。行動調整、カウンセリング、スキルトレーニング、コーチングを学ぶと、ADHDの人は自分の行動をコントロールできるようになります。すると学校でも社会でも、活動がうまくいくようになります。



・ 行動調整

 行動調整というのは、ほめたり罰したりしながら行動を変えていくことです。年齢の低い子どもには、ほうびを使うと効果的です。親や先生が、ほめたり、抱きしめたり、テレビを見るなどの特別なほうびを決めたり、お小遣いをあげるという物質的なほうびも使えます。逆に、よくない行動をしたときには、特別なほうびを取り上げたり、やりたいことを抑えたりする方法を取ります。例えば、「家庭のルールを破ったら、遊びに行かせない」というのは、よく使われる方法です。行動調整が効果を表していくと、適切な行動をとらせることが習性となります。自分自身をコントロールする方法を身につけると、それだけで気分が良いものです。


・ カウンセリング

 専門家に長期にわたって診察を受けることも大切です。特に年齢が高い10代は、カウンセリングによってADHDを理解し、自分の怒りやうつといった感情と向き合うことができるようになります。問題解決の方法や、周囲に適応するための方法も学ぶことができます。ADHDは、家庭内に不和をもたらすことがあります。このような場合は、家族もカウンセリングを受けるとよいでしょう。親は、子どもの症状にどう対応したら効果的かということを学べます。カウンセリングは個別のものとグループで行うものがあります。


・ スキルトレーニング

 日常生活のスキル(技能)を教える授業やグループも、ADHDの10代にとって役立ちます。怒りをコントロールする方法や、記憶の方法、勉強方法についての授業、仲間とうまくやっていく技術や方法を学ぶグループ授業もよいでしょう。


・ コーチング

 コーチングも行動調整を学ぶ方法です。ADHDの人とコーチが1対1で行います。時間の使い方、課題の整理やこなし方、問題解決する方法などを教えてくれます。家族、先生、先生の助手、カウンセラー、友達、職場の同僚、職場の上司などにコーチをしてもらうことができます。ADHDの大人の場合は、コーチを雇うことがあります。



 もう一つ欠かせない重要なことは環境を変えることです。家庭、学校、職場などの環境は、ADHDの人の行動に影響を与えます。たとえば、いつも騒がしくてルールが守られていない教室や職場にいると、多動性が増します。ADHDの10代にとって、学校こそがもっとも困難な状況だといえるでしょう。学校は、じっと座って、先生の話をよく聞き、指示に従い、課題をすばやくこなすことを生徒に要求します。これは、ADHDの生徒の多くにとって、難しいことばかりです。また、ADHDの生徒はLD(学習障害)を伴っている場合が多く、勉強は更に困難になります。しかし、学級の環境を整えたり修正することでADHDの生徒は学習しやすくなります。



・ 計画性のある授業

 授業の計画がわかっていると、ADHDの生徒にとって次に起こることが予測できるので効果的です。


・ 融通性のある学級

 ADHDの生徒のために、先生が時折規則を曲げて対応します。宿題をみんなより遅い提出日にしたり、テストにもっと時間をかけたり、というように対応していきます。


・ 興味を引く授業

 活気があり生徒の興味を引く授業には集中度も増します。


・ 指示は簡潔に

 先生が指示を出すときは、1番、2番というように、段階にそって番号をつけるとわかりやすくなります。黒板に書いておくと更に明確です。


・ 軌道から外れたときの合図を決めておく

 例えば、肩に先生が手を置いたら、「静まって勉強に戻りなさい」の合図だというように、サインを決めておきます。


・ 気が散るもののそばに座らない

 窓やドアに近い席は、気が散るものが見えたり聞こえたりします。そのような場所から離れたところに座るのでよいでしょう。


・ 学習を助けるものを利用する

 ADHDの生徒は、計算機を使ったり、授業を録音するためのテープレコーダーを利用したりするとよいでしょう。

 ADHDの生徒は、クラスの環境の調整をすすんで頼み、利用するべきです。学校でうまくやるためには、他にもいろいろな方法があるでしょう。自分のアイデアと次のリストを比べて見ましょう。


・ 勉強するときは薬を飲む
 薬を飲めば集中力が増して勉強がはかどります。


・ 自分にあった時間割を作る
 難しい授業は、薬が効いている午前中にしてもらうように先生に頼んでみましょう。


・ 宿題を整理する

 宿題を忘れないように、専用のノートを作って書きとめましょう。大きな課題の提出日は、カレンダーに書いて、毎日見るようにしましょう。
・助けてもらう 宿題に不注意な間違いがないか信頼できる人に確認してもらいましょう。


・ 宿題をする時間を決めよう

 夕食などの時間を調整して、宿題を決めた時間にできるように家族に協力してもらいましょう。


・ 勉強がはかどるための方法を学んで練習しよう

 例えば声を出して読んだり、問題を解く前に質問に印をつけたり、線を引いたりすれば、不注意な間違いを少なくできます。




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