学園日誌

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 S・ジョブズが愛した「弓と禅」  Part4

  この夜の出来事から武道が持っている底知れない力と魅力の虜になったヘリゲルさんはひたすら稽古に精進したそうです。

 そして、何年ののち稽古をしている最中に、急に阿波師範が立ち上がってヘリゲルさんの下に行き言いました。「ヘリゲルさん、的に向かって一礼しなさい。いましがた『それ』がいました」ヘリゲルさんは言われたとおりに的に向かって一礼したあと自分の放った矢を見たが、見事に外れていたそうです。
 そのことを師に問うたらこう答えたそうです。
「あなたの射が武道的に何の問題もなく行われたことが大切なのです。すべての射が的に当たったとしたらそれは弓道ではなくただの曲芸です。あなたの中から大当たりを消し去りなさい。また良い射、悪い射に一喜一憂してはなりません。良い射を放ったならばそれを目指して練磨するのです」
 まもなく、ヘリゲルさんは師より免許皆伝を申し伝えられ五段か六段の段位を取得したといいます。その後母国に帰られたそうです。

「良い射、悪い射に一喜一憂してはなりません」なんて言葉に何人かの生徒が思わず頷いていました。また、職員のゴルフ同好会のメンバーとしてグッと胸にくる言葉です。力みの元は欲です。その欲を打ち消すのが無心、すなわち禅の教えだそうです。

S・ジョブズの有名な言葉で「ドットを繋げ」というのがありますが、いままでの人生の中で成功があり失敗があったからこそ今がある。だからこそ過去のそうした出来事をつなげてみるとそこから新しい道が見えてくる。決して一度の成功を手柄にしたり、一度の失敗に固執したりしない精神、『カッコイイですね』と一人の生徒が語ってくれました。
 


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