1996年のウィンブルドン大会準決勝のシュテフィーグラフ戦での出来事です。当時グラフ選手は女子テニス界ではナンバーワンプレーヤーでした。この試合、第1セットをグラフが取ったものの第2セットを伊達公子が圧倒的な勢いで取り返し、夢の日本人ウィンブルドン決勝進出まであと1セットと迫ったんですが、残念ながらそこで日没順延となりました。翌日再開された第3セットを6-3で取ったグラフがそのまま優勝しました。
その試合中に、グラフ選手がサーブに入ろうとしたとき、観客席から一人の男性が大声で「シュテフィー、俺と結婚してくれ!」と叫びました。緊迫した試合中です。グラフ選手は思わず笑って「あなた、お金は持っているの?」と切り返しました。会場は大爆笑になりました。伊達選手はこの時、「私じゃダメ?」と言おうと思ったのですが言えなかったそうです。これが彼女の後悔でした。
なんともウィットに富んだエピソードですよね。どんな緊迫した場面でも観客を満足させるプロ意識、強いだけが勝つだけがプロじゃない、華のある人はやはり違います。