学園日誌

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ペアレント・トレーニング2

今号も引き続き、野口啓示著『むずかしい子を育てる ペアレント・トレーニング 親子に笑顔がもどる10の方法』(明石書店)をご紹介します。

<わかりやすく伝えよう 具体的な言い方のすすめ>
先号では、「今からレストランに行くとします。前回の外食では、子どもは走り回り、さんざんでした。
もう行きたくないと思ったものです。
でも、外で食事をするというのは、親にとっても楽しみなことです。
行く前に、子どもに言って聞かせたいと思います。どのように言うでしょうか」

という状況を考えてもらいました。
「今からレストランに行くから、ちゃんとしているのよ」「今日はいい子にしていてね」
「ちゃんと」や「いい子」という言い方は便利で、よく口から出ますが、この表現が浮かんだ方、要注意です。
子どもにとっては、これらの言い方で、親のしてもらいたいことを理解するのは難しいのです。
では、言い方を変えるとどうでしょう。
いつも使ってしまう「ちゃんと」や「いい子」といったあいまいない言い方をやめ、より具体的な言い方に変えるだけで、段違いに子どもに伝わりやすくなります。
それは、子どもにも何をすべきかがはっきりするからです。
「レストランでちゃんとする」というのは、「レストランでは走りまわらないで、座って食べる」ということかもしれません。
ここでのポイントは、具体的にしてほしい行動を伝えることです。
では、行動とはどのようなものなのでしょうか。
それは、人が動作したり、表現したりすることです。
そして行動とは、具体的に見たり、聞いたり、数えたりができるのです。
では、あいまいな言い方と具体的な言い方の違いを見てみましょう。

あいまいな言い方・・・「おでかけのときは、ちゃんとするのよ」
具体的な言い方・・・「おでかけのときは、迷子にならないように、ままの 
           そばにいるのよ。おててをつないでおきましょう」

あいまいな言い方・・・「いい子にしてと言ってるでしょう」
具体的な言い方・・・「順番は守ろうね。ブランコに乗りたいのなら、
           ここに並ぶのよ」

このように比較されたのを見ると、違いがわかっていただけると思います。
ここでのポイントは「簡潔に」「具体的に」です。

では、子どもにわかりやすく伝えるために、私たちができることをもう少し紹介します。
例えば「妹のもの取ったら、ダメでしょう」や「宿題もせずダメでしょう」とダメなことは言っていますが、
でも、子どもたちにしてほしいことを言っていません。
親からすると、あなたがすべきことはわかっているでしょ、ということかもしれません。
でも、子どもはほんとうにわかっていないことも多いのです。

こういうときも、具体的な言い方で話すことにより状況を変えることができます。

「使いたいときは、妹に使っていいか、きこうね」「学校から帰ってきたら、すぐに宿題をしようね」
これらの言葉には子どもを責める言葉がないので、子どもも意地を張らずにすみます。
子どもを責めるような言葉では、なかなか子どもの気持ちは切り替わりにくいということも私たちは経験しています。
そして、これら子どもを責める表現は子どもの成長にとって大切な自己イメージを下げ、
自分はダメな子どもだというコンプレックスが生まれてしまいます。

<まずは落ち着こう 不安感を減らして落ち着きを取り戻すプラン>
 落ち着きを維持することは簡単なことではありません。
きっと全世界の親が、落ち着いていたら、と後悔する経験をもっていることでしょう。
何度、部屋を片付けなさいといっても、部屋を片付けないでいる子ども。
注意したら、今度はすねたり、泣いたり、どうしたらいいのかわからなくなる。
そんなとき、感情的になって、叩いてしまった、ということはよくあります。
親子関係のバッドサイクルでも言いましたが、親が叩く前の状況は、非常にストレスが高い状況です。
そして私たちは、一刻も早く、ストレスから抜け出したいのです。
でも、叩いて切り抜けたとしても、後に残るのは自己嫌悪です。
このようなことにならないように、落ち着きを取り戻すプランを紹介します。

1.状況の整理
2.体の変化を察知
3.リラックス

まず、どんなときに我を忘れて、後悔するようなことをやってしまったのか。
状況を整理することにより、原因もはっきりしてきます。
次いで、体の変化は、怒りの感情を含むさまざまな変化ということができます。
心臓がドキドキする、顔が紅潮する、早口になったり大声でしゃべったりする、がまんできなくなる、といったことが含まれます。

では、落ち着くために何ができるでしょう。
深呼吸が一般的な方法ですが、他にも、水を飲む、部屋を出る、腰かける、電話をする、イライラすることを紙に書く、10まで数える、メールを読む・・・。
少し間をあけ、自分を取り戻すためにする行動です。
ここでのポイントは具体的な行動を起こすことです。
気持ちを頭だけで切り替えるのは、実は高等なテクニックで失敗しがちです。


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