学園日誌

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学園日誌

S・ジョブズが愛した「弓と禅」  Part3

 阿波師範はある夜、ヘリゲルさんを道場に呼び出します。そして的の前に線香を一本立たせて明かりをすべて消すように命じます。当時の的までの距離は何と五十メートルで、しかも戦前のことですから道場の周囲には明かりなどなく真っ暗な状態で、目を凝らしてみたら針の先で突いたかように線香の明かりが何とか見える程度だったそうです。

 阿波師範は二本の矢を持って立ち、丁寧に礼法どおりに弓を引き一本目の矢を放たれた。そして同じように二本目も放たれた。そして師は深々と的に向かって一礼をしたあと、ヘリゲルさんに的を見てきなさいと命じました。
 的までいったヘリゲルさんはそこで驚くべき光景を目にします。
 一本目の矢は黒点、的の中心の図星を貫いていた、そして二本目の矢は一本目の矢を引き裂いていたというのです。

 阿波師範は言います。「一本目の矢が黒点に当たったのをまぐれといってもかまいません。しかし二本目の矢の結果をあなたはどう説明しますか?」返す言葉のないヘリゲルさんに阿波師範は言いました。
「『それ』が射たのです。わたしではなく『それ』が降りてきて射たのです。こういうことを武道というのです」
 ヘリゲルさんは武道が持つ底知れぬ力と世界に度肝抜かしたそうです。

look forward to next、again and again (またまた次回をお楽しみに)
   


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