キーンさんは海軍兵学校で日本語を学びながら、自分たちに日本語を教えてくれている日系一世の教員たちに感動します。母国である日本が敵国となっている状況の下、アメリカのために日本語を必死になって教えてくれているわけです。もしも自分が逆の立場であればできるだろうか?と自問するとともに日本人への尊敬の念がキーンさんに根付きます。
そして、ついにキーンさんにハワイでの任務が下されました。ハワイの収容所にて捕虜の尋問、そして南方で収集した日本兵の日記を解読するという任務です。
当時、アメリカ軍では兵士の日記は禁止だったそうです。なぜならばそこから次の作戦が洩れるやも知れないからです。しかし日本軍では手紙などは検閲が厳しかったそうですが日記については甘く、軍の方から兵士全員に日記帳が支給されていました。初めての任務に就いたキーンさんはハワイで日本人の日記の翻訳を担当したそうです。
彼が解読する日記は南方などの激戦地で押収されたものですから、持ち主はすでに戦死した日本兵たちです。キーンさんは読むたびに死んでいった兵士たちの悲痛な叫びを思い涙しました。「弾丸朽ちて、友に別れを告げる」「もはやこれまで、さらば祖国よ」「食べ物がない、草根かじるのみ」など悲惨なものばかりです。そんな中でキーンさんの日本への気持ちを決定ずけるある日記との出会いが待っていました。