「鉛筆はなぜ板を張り合わせて作ると思う?二枚が支え合い、木の反り返りを防ぐんだよ」。
不登校の子どもを受け入れている私立の西濃学園中学(岐阜県揖斐川町)。
北浦茂学園長(六二)が、優しい視線を子どもに向ける。
ツッパリ相手に、体を張ったのは遠い昔。
突然暴れる、落ち着いて着席できないといった、発達障害などが理由の不登校が急増。
「彼らが世に出る手伝いがしたい」と前の学校を辞め、昨春、開校にこぎつけた。
廃校になった山村の校舎で九人が共に暮らし、学ぶ。
「みんな能力はある。でも、今の教育は、彼らの良いところを受け止められない」。
月六万円強の学費と別に寮費もかかる。親の負担は大きい。
それでも職員らの給与を払ったら赤字。
「少しでも行政の補助が増えたら…」。
不安はよぎるが、学校の維持に情熱を傾ける。
文・豊田雄二郎
写真・佐藤春彦
※この記事は中日新聞の許可を得て掲載しています。