学園日誌

diary

学園長のひとりごと

父親の背中 (2)

私が大学2年生の時、父は多分自分から希望したのだと思いますが名古屋に転勤してきました。当時私の大学では学生運動が盛んで毎年機動隊が導入されておりました。官舎での二人の生活の時、父は繰り返し、お前はゲバ棒を持っていないだろうな? と聞かれたものです。私は彼らの何人かとは話が出来る関係でしたが、彼らの行動には否定的でした。しかし、父からそのように問いただされると反感が先に立ち、父に素直な返答をしなかったことが思い出されます。
 二年後父は定年退職となり、「おわり、なごや」と言って郷里の金沢に帰っていきました。翌年、以前共に働いていた方々から呼ばれ名古屋にやって来て楽しいひと時を過ごしたようです。金沢に帰る時、私は父を名古屋駅まで送りにいった時、父と共に働いて見えた方が何人も見送りにきていただきました。列車がホームから遠ざかった後、皆さんに、父に対する感謝の気持ち一杯で深々とお辞儀をしたのを思い出します。その時、私は現職の課長ならいざ知らず、退職した課長を見送って頂けることを目の当たりにし、父の生き様の後ろ姿を見たような気がしました。父に何度となく反抗しましたが、反抗できる父親がいて、見守ってくれた父親への思いを偲んでいるこの頃です。



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